乳児のはちみつ死亡事故はなぜ起きた?ボツリヌス菌の猛威と予防法
乳児に対するはちみつの危険性が日本中で改めて再認識されたのが、2017年3月に東京都足立区で発生した生後5か月の男児の死亡事故です。乳児ボツリヌス症による死亡事例としては、1986年に国が統計を取り始めて以来、国内初の事例となりました。
事故の経緯を振り返ると、家族は「体に良いもの」という認識のもと、市販のジュース粉末を水とはちみつで溶かした手作りの離乳食を、約1か月にわたり1日2回ペース(1日あたり合計約10g)で男児に与えていました。その後、男児は激しい便秘、けいれん、呼吸困難を起こして救急搬送され、発症から約1か月後にボツリヌス菌が産生した神経毒素による低酸素脳症で息を引き取りました。
行政機関である厚生労働省の注意喚起は1987年から継続的に出されていましたが、祖父母世代からの伝承や情報格差により、リスクを知らないまま与えてしまった背景が浮き彫りとなりました。善意による日常の食事が、取り返しのつかない事態を引き起こす現実を突きつけた象徴的な事例です。