世界を震わす怪優・佐藤緋美の狂気と情熱、表現者の真実に迫る
佐藤緋美の俳優としての特異性を語る上で外せないのが、三宅唱監督の傑作『ケイコ 目を澄ませて』での好演だ。主人公の弟役として、飾らない日常の手触りや、言葉を交わさずとも通底する微細な空気感を、アコースティックギターの音色と共にスクリーンへ刻み込んだ。
劇的であることを意識的に避け、ただ「そこに生きている人間」の体温を立ち上がらせるリアリズム。ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧にするその身体性は、彼が持つ天性の嗅覚と、対象に対する深い敬意から生まれている。