なぜ主役を食う?怪演派バイプレイヤーが魅せる日本映画の劇的変化
こうした実力派バイプレイヤーの層の厚さを語る上で、劇団のルーツを見逃すことはできない。中でも松尾スズキ率いる「大人計画」出身の俳優たちが果たしてきた役割は極めて大きい。その代表格である阿部サダヲは、狂気とユーモアを紙一重で体現し、作品のジャンルを問わず強烈な爪痕を残し続けている。
舞台仕込みの発声と肉体表現、そして予測不能なエキセントリックな間合い。彼らが持ち込む劇的なダイナミズムは、映画やTVドラマの型にはまったリアリズムを心地よく破壊する。人間が抱える滑稽さや暗部を隠さずに表現する彼らのアプローチが、現代の視聴者が求める「嘘のないドラマ」に合致しているのだろう。