「怒涛の展開」は誤用か?激動の時代を映し出す言葉の正体と真実
映画・映像エンターテインメント業界における言葉の消費スピードは、かつてないほど加速している。NetflixやAmazon Prime Videoをはじめとする動画配信プラットフォームの普及に伴い、視聴者を冒頭数分で引き込み、途切れなく再生させ続けるためのマーケティングコピーとして「怒涛のサスペンス・アクション」や「怒涛の伏線回収」という惹句が乱舞する。
1.5倍速視聴やスキップ再生が当たり前となった視聴環境では、緩急の「緩」を排し、「急」の連続で脳内物質を刺激し続ける演出が好まれる。画面の中で次から次へと事件が連鎖し、休む間もなくクライマックスへと雪崩れ込む構造。映像のテンポが極限まで切り詰められた結果、作品の魅力を一言で要約する記号として、この語が過剰に重宝されているのだ。