なぜ今おにぎり専門店に熱狂するのか?名店の極意と原価の裏側
米離れが叫ばれて久しい。農林水産省の統計を見れば、国民一人あたりの年間米消費量は半世紀前の半分近くまで落ち込んでいる。ところが、街中の専門店には米を求めて人々が殺到している。この一見矛盾する現象をどう読み解くべきか。
一般社団法人おにぎり協会の分析によれば、消費者は「米を食べなくなった」のではなく、「主食としての米に払う価値基準を変えた」のだという。簡便さとスピードを求めながらも、健康や本物志向を諦めたくない現代人にとって、握りたてのおにぎりは完璧な解だった。ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」の精神を宿しながら、片手で素早くエネルギーを補給できる究極の「ファストフード」。この二面性こそが、忙しい都市生活者の胃袋を掴んで離さない最大の理由である。