栞とは?語源「枝折る」の由来から名付けの意味・種類まで徹底解説
「しおり」という日本語のルーツは、動詞の「枝折る(しおる)」にあります。山仕事をする人々や旅人が、生い茂る山林を歩く際、帰り道で迷子にならないよう進路にある木の枝をポキポキと折って目印を作りました。この行為そのものを「枝折(しおり)」と呼び、通行の道しるべとして機能させていた歴史が存在します。
平安時代の古典文学や和歌集にも「枝折る」という表現は頻繁に登場します。例えば『古今和歌集』や『伊勢物語』では、愛する人を案内するため、あるいは再び訪れる目印として木々の枝を折る風情が情緒豊かに描かれています。山道での物理的な道標だった「枝折」は、時代が下るにつれて「未知の分野を案内するもの」「物事の手引き」という抽象的な意味へと広がっていきました。
書籍の続きを読むための目印として紙片などを挟む行為に「栞」の文字が当てられるようになったのは、まさに「迷わずに元の場所へ戻るための目印」という概念が完全に一致したためです。かつて森の中で旅人を救った知恵が、形を変えて書物の海を渡る読書人の道標として受け継がれています。