東京の空を創った「不動産帝国」の光と影——森ビル・森トラストを分かち、都市を変貌させた血脈の真実

東京の空を創った「不動産帝国」の光と影——森ビル・森トラストを分かち、都市を変貌させた血脈の真実

東京の空を創った「不動産帝国」の光と影——森ビル・森トラストを分かち、都市を変貌させた血脈の真実に関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。

泰吉郎には3人の息子がいた。長男の森敬は慶應義塾大学教授として数理経済学の分野で将来を嘱望されていたが、1990年に病のため57歳の若さで急逝する。帝国の継承は、次男の森稔と三男の森章の二人に託されることとなった。

しかし、この二人の経営思想は対極に位置していた。次男の稔は「理想主義の情熱家」。都市に巨大な立体庭園や美術館を配し、職住遊が融合した「ヴァティカル・ガーデン・シティ(立体緑園都市)」を夢見た。六本木ヒルズや上海環球金融中心、そして現在の麻布台ヒルズへとつながるビジョンは、採算度外視とも言える莫大な投資と時間を要する代物だった。

対照的に三男の章は「現実主義の合理主義者」。安田信託銀行での勤務経験を持ち、リスク管理と資本効率を徹底的に重視した。投資回収の遅い大規模再開発よりも、確実なキャッシュフローを生むオフィスビルや外資系高級ホテルの誘致に強みを見出していた。

父・泰吉郎が1993年にこの世を去ると、二人の路線の違いは決定的なものとなる。1999年、グループはついに二つに分割された。稔が率いる「森ビル」と、章が率いる「森トラスト」への完全な袂分かちである。不動産業界を揺るがしたこの兄弟の分裂劇は、結果として東京という都市に異なる二つの開発スタイルをもたらすこととなった。

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石川 優花

石川 優花

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。