『もののけ姫』タタラ場の裏設定!モデル地や病者の理由と復興の真相
『もののけ姫』のタタラ場の風景を生み出すにあたり、宮崎駿監督をはじめとする制作陣が現地調査(ロケハン)に訪れた場所として知られているのが、島根県雲南市吉田町にある「菅谷(すがや)たたら山内」です。中国山地は古くから良質な砂鉄と広大な森林資源に恵まれ、日本における鉄生産の中心地として栄えてきました。
菅谷たたらには、かつて実際に稼働していた製鉄作業場である「高殿(たかどの)」と呼ばれる巨大な木造建築が日本で唯一現存しています。天窓から光が差し込み、巨大な炉と送風装置が鎮座するその内部構造は、劇中でエボシ御前や女たちが汗を流していたタタラ場の作業場そのものです。周囲に残る職人たちの長屋や段々畑の遺構からも、隔絶された山中でひとつの強固な共同体を形成していた当時の息遣いが感じられます。
なお、タタラ場が崖の上に築かれた難攻不落の要塞のような外観を持つ点については、特定の単一建築だけでなく、中世の山城や日本海沿岸の製鉄集落の地形的特徴が複合的に組み合わされています。自然の脅威や外敵の侵入を退ける閉鎖的な立地は、エボシ御前が目指した独自の領国経営のリアリティを際立たせています。