安野モヨコが紡ぐ渇望と生の美学、今明かされる愛と創作の全貌
講談社発行の『モーニング』で連載された『働きマン』は、青年誌における女性主人公のあり方を根底から覆した。「男スイッチ」を入れて仕事に没頭する主人公・松方弘子の姿は、単なるキャリアウーマンの賛美にとどまらない。過酷な労働環境、理不尽な妥協、私生活の破綻とそれでも仕事を手放せない執着。その赤裸々なリアリティは、日本の漫画業界に激震を走らせ、働くすべての大人たちのバイブルとなった。
一方、祥伝社の『FEEL YOUNG』で読者を魅了した『さくらん』では、江戸吉原の遊女・きよ葉の苛烈な生と反骨を描き切った。古典的な花魁の世界を極彩色のパンク精神で再構築したビジュアルは圧巻の極みだ。運命を呪うのではなく、自らの足で地獄を極楽へと変えていく強靭なヒロイン像は、従来の女性漫画の枠組みを軽々と飛び越え、蜷川実花監督による映画化など多方面に波及するカルチャーアイコンとなった。