阿部寛の原点とメンズノンノ伝説!カリスマから世界的名優への軌跡
しかし、栄光の時間は長くは続かなかった。映画界へと転身したものの、待っていたのは「モデル出身俳優」という色眼鏡と、高すぎる身長が仇となるキャスティングの壁だった。二枚目役をあてがわれては空回りし、バブル期の投資失敗による借金という重い現実ものしかかる。
「自分には何もない」。そう痛感した阿部は、プライドを完全にかなぐり捨てた。劇作家・つかこうへいの舞台『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』への出演を決断し、バイセクシャルの刑事部長という難役に挑む。汗と唾を撒き散らし、喉を枯らして叫び続ける過酷な稽古場で、かつてのカリスマモデルは己の殻を徹底的に破壊した。
この泥臭い舞台経験が、端正なマスクの裏に狂気と哀愁を宿す「役者・阿部寛」を誕生させる決定打となった。