岸信介と安倍晋三が遺した宿願の正体と受け継がれた権力の深層
保守本流と傍流がせめぎ合う自由民主党の歴史において、岸の政治的遺伝子を受け継ぐ派閥として結成されたのが清和政策研究会(清和会)だ。福田赳夫を経て受け継がれたこの潮流は、かつて吉田茂の系譜を引く宏池会など軽武装・経済重視のハト派と激しく対立した。さらに、岸の実弟である佐藤栄作が築いた長期政権の安定感と人事の妙もまた、安倍の政権運営における見本となった。
血縁の伯父である佐藤栄作の記録を塗り替え、歴代最長政権を樹立した安倍は、清和政策研究会を党内最大派閥へと押し上げ、自民党内の力学を完全に塗り替えた。党内野党を抑え込み、総裁人事から閣僚ポストまでを完全にコントロールする手法は、岸の強権性と佐藤の緻密な党内掌握術が高度に融合した帰結だったと言える。