ばぁばが遺した和食の神髄!鈴木登紀子の生涯と家庭で甦る秘伝技
晩年に至るまで、彼女の創作意欲と生命力は衰えることを知らなかった。90代を迎えてなお厨房に立ち続け、自らの半生と料理観を凝縮させた名著『ばぁば 92年目の隠し味』は、多くの読者に深い感動を与えた。幾度もの大手術を乗り越えながらも、包丁を握る手は決して震えなかったという。
本の中で語られるのは、料理のコツだけではない。道具を慈しみ、旬の食材に感謝し、老いを受け入れながら凛として生きる知恵である。ひとつの鍋を磨き上げること、ふきんを真っ白に保つこと。日常の些細な営みを美しく整える姿勢そのものが、最高の隠し味になるのだと彼女は背中で教え続けた。