波物語が変えたライブ業界の運命:混迷の舞台裏と再生への軌跡
なぜ、あれほど明白なリスクを抱えながらイベントは強行され、破綻へと突き進んだのか。主催者である株式会社office projectの内部では、開催直前まで深刻な葛藤と資金面でのプレッシャーが渦巻いていた。
相次ぐ他フェスの延期や中止により、イベント制作会社は莫大なキャンセル料や準備費用の負債リスクに直面していた。office projectにとっても、波物語(NAMIMONOGATARI)の中止は会社自体の存続を揺るがす致命的な選択肢だった。感染対策の強化を愛知県側に約束しながらも、現場での実効性を持ったオペレーション体制は構築されておらず、コスト削減と収益確保への焦りが安全配慮義務を完全に覆い隠してしまった。
関係者の証言によれば、自治体や施設側からの事前要請に対する主催側の認識はあまりに甘く、「屋外だから大丈夫だろう」「アーティストが出演すれば観客はコントロールできる」という根拠のない楽観論が蔓延していた。結果として、入場制限の不徹底、酒類販売の強行、ずさんな警備計画という三重苦が重なり、あの修羅場が生み出されたのである。