宮沢りえが宿す大人の色気と狂気:伝説の表現者が魅せる美の真髄
2014年に公開された映画『紙の月』は、女優・宮沢りえの底知れぬポテンシャルを決定づけた一作だ。監督の吉田大八がメガホンを取ったこの官能サスペンスで、彼女は年下の大学生との不倫に溺れ、巨額の横領へと手を染めていく平凡な銀行員・梅澤梨花を怪演した。
真面目で清潔感あふれる日常が、情欲と背徳の蜜を味わうことで崩壊していくプロセスの生々しさ。劇中で見せる濃密な濡れ場や、理性のタガが外れた瞬間の恍惚とした微笑みは、息が詰まるほどの艶やかさを放っていた。本作の演技は高く評価され、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめとする各映画賞を総なめにした。