古畑任三郎Vs木村拓哉!伝説のビンタ事件と怪演に隠された真相
このエピソードを語る上で絶対に外せないのが、クライマックスで炸裂した痛烈なビンタである。古畑任三郎というキャラクターは、基本的に暴力を行使しない。論理と心理誘導のみで犯人を追い詰めるのが彼の流儀であり信条だった。
だが、林功夫に対してだけは違った。大勢の無辜の命を自らのプライドのためのゲーム盤に乗せた男の傲慢さに対し、古畑の右手が激しく頬を打つ。あの衝撃音とともに林のサングラスが吹き飛んだ瞬間、劇中の空気は凍りついた。
撮影現場において田村正和は、本気で相手に手を上げることを極めて嫌う俳優として知られていた。しかしこのシーンにおいて田村は、全身全霊の感情を込めて木村の頬を張った。それは脚本の要請を超え、本気でぶつかってくる若き表現者に対する、大先達からの最大級の敬意であり応酬だったと現場スタッフは証言している。