広重の「月に雁」はなぜ熱狂を呼ぶのか?幻の切手と浮世絵の真実
「月に雁」の名を日本中に決定づけたのは、絵画そのものだけではない。1949年(昭和24年)に当時の逓信省(現在の日本郵政グループの源流)が発行した、切手趣味週間を記念する「月に雁切手(1949年発行)」の存在である。
当時の額面は8円。終戦直後の混乱期、わずか200万枚しか印刷されなかったこの切手は、縦長の変形サイズと圧倒的な印刷美で瞬く間に庶民の憧れの的となった。昭和の記念切手コレクションブームにおいて「見返り美人」と並ぶ二大至宝と称され、5枚綴りのシートを求めて郵便局頭に長蛇の列ができた歴史は、今や伝説として語り継がれている。