花まつりの真実とは?ブッダ生誕の謎と甘茶に隠された驚きの秘話
日本で親しまれる花まつり(灌仏会)のハイライトといえば、愛らしい誕生仏の頭上に甘茶を注ぎかける儀礼である。この所作の起源は、シッダールタが生誕した瞬間に九頭の龍が天から現れ、甘露の清らかな雨を降らせて産湯としたという瑞祥の伝説に由来する。日本伝来当初は香木を煮出した「五香水」が用いられていたが、江戸時代以降、山野に自生するアマチャ(ユキノシタ科の植物)を発酵・乾燥させた茶が定着した。
甘茶は砂糖の数百倍の甘味を持ちながら、生薬としても重宝されてきた歴史を持つ。儀礼の正しい作法は極めてシンプルながら慎み深い。まず花御堂の前で静かに合掌一礼し、柄杓一杯の甘茶を汲んで誕生仏の頭頂部へ三度注ぐ。これは釈尊の誕生を慶ぶとともに、自らの心身の穢れを清める意味合いを帯びている。柄杓を戻した後は、無病息災や子孫繁栄の祈りを込め、甘茶を一口いただくのが古くからの慣わしだ。