菅田将暉×是枝裕和『僕 と うどん と かつお だし』撮影秘話
「この作品で描きたかったのは、器の底に溜まる出汁の一滴に宿る人間臭さです」――独自取材に応じた是枝裕和監督は、静かな口調でそう語り始めた。カメラが回っていない時間にも、現場には常に本物の鰹節を削る音が響いていたという。CGや特撮による演出を削ぎ落とし、湯気の揺らぎから小麦粉が舞う瞬間まで、すべて実写のリアリティにこだわった。
監督が明かした未公開の裏話のなかでも特に驚かされるのが、早朝の即興セッションだ。主演の菅田はクランクインの3ヶ月前から現地の名店に通い詰め、手打ちの技術と出汁の取り方を体に叩き込んだ。撮影中、予定されていたセリフを急遽カットし、無言で出汁を引く演技を5分間そのままノーカットで回し続けたというエピソードは、監督と役者の壮絶な信頼関係を象徴している。