京都のおくどさんを追う!老舗料亭が明かす究極の炊飯技法と真実
台所を見上げると、柱や壁に貼られた何枚ものお札が目に入る。「火迺要慎(ひのようじん)」の筆文字が印象的な京都・愛宕神社の火防札、そして三宝荒神の御影だ。京都における民俗学・竈神信仰は、単なる迷信ではなく、日々の暮らしの安全と感謝を忘れないための生きた戒めとして受け継がれてきた。
古来、火と水という相反する強大な自然力を扱う台所は、異界との境界と考えられていた。火を粗末に扱えば家を焼き尽くし、清浄を怠れば疫病を招く。だからこそ、竈の上に毎朝一番の水と塩を供え、手を合わせてから火を熾す習慣が町家の隅々にまで定着した。年末には愛宕山の白札を新しいものに張り替え、布袋尊の人形を一つずつ増やしていく「七布袋」の風習も、火の神に対する深い畏敬の念の表れである。