巨大アルミを削り出す新幹線の作り方!時速320キロを支える現場
新幹線のノーズ形状は、単なるビジュアルの美しさを求めたものではない。トンネル突入時に発生する微気圧波(トンネルドン現象)を抑え、空気抵抗を極限まで減らすための流体力学の極致である。複雑怪奇な曲面で構成された先頭形状は、プレス機だけで均一に成形することが極めて難しい。
何千回、何万回と金槌を打ち下ろし、平らなアルミ板を立体的な曲面へと変化させていく「打ち出し板金」。作業員の耳には、打撃音のわずかな音色の変化で金属の硬化具合が手に取るようにわかるという。かつて『ディスカバリーチャンネル』などの海外メディアや名作『産業ドキュメンタリー』がこぞってその神業を特集し、世界中のエンジニアを驚嘆させた理由がここにある。最先端のシミュレーションが生み出した空力デザインを現実に具現化できるのは、研ぎ澄まされた人間の五感に他ならない。