巨匠タランティーノと「足フェチ」描写、映画史を揺るがす演出美
1990年代、独立系スタジオの雄であったミラマックスのもとで生み出された数々の傑作は、従来の映画産業における演出のコードを鮮やかに塗り替えた。スタジオ主導の記号化された美意識に対し、作家の個性を前面に押し出した尖锐な映像表現は、まさに映画史の転換点となったのである。
彼らがもたらした変革は、商業主義に凝り固まっていた映画産業に大きなショックを与えた。監督個人のプライベートなフェティシズムや偏愛を、一級のエンターテインメントへと昇華させる手法である。かつてはB級映画やカルトフィルムの領域に押し込められていた個人的な嗜好が、世界的なメガヒット作のなかで正当な「映画的シグネチャー」として認められるに至った背景には、この時代の表現の自由とスタジオの挑戦的アプローチがあった。