K2に挑んだ登山家・中島健郎の軌跡と追悼ドキュメンタリーの裏側
登山界のノーベル賞と称される「ピオレドール賞」。中島健郎は生涯で2度の受賞を果たし、世界のトップアルピニストとしてその名を歴史に刻んだ。その偉業を語る上で欠かせないのが、長年の相棒であった平出和也の存在だ。二人がチームを組み、パキスタンの険峰シスパーレ南壁をアルパインスタイルで攻略した功績は、世界の山岳関係者を唸らせた。
所属していた石井スポーツのバックアップのもと、彼らが追求したのは必要最小限の装備で高速かつ美しく登る「アルピニズム」の本質だった。極限状態であっても互いに信頼を寄せ合い、笑顔を絶やさずに困難を乗り越えていくスタイルは、国内外で高く評価された。続くルンパー・バハールI峰の未踏正面壁初登頂でも二度目のピオレドール賞に輝き、名実ともに世界最高のペアとしての地位を確立した。