『毎日かあさん』の光と影|西原理恵子の卒母宣言と家族の現在を追う
『毎日かあさん』がスタートした2000年代初頭、世間の育児像は「良妻賢母」や「完璧な母親」を求める風潮が根強く残っていました。そこに風穴を開けたのが、西原氏の圧倒的にリアルで飾らない筆致です。「怒鳴ってもいい」「手を抜いても死なない」と肯定する姿勢は、育児ノイローゼや孤立に悩む母親たちに絶大な救いを与えました。
作中では、元戦場カメラマンで作家の夫・鴨志田穣氏のアルコール依存症や家庭内葛藤、離婚、そしてがん闘病と最期の別れまでもが、哀愁と笑いを交えて包み隠さず描かれました。過酷な現実から目を背けず、たくましく生き抜く家族の姿は幅広い層の共感を呼び、2009年にはテレビアニメ化、2011年には小泉今日子氏と永瀬正敏氏の元夫婦共演による実写映画化が実現するなど、国民的コンテンツへと登りつめました。