弥次さん喜多さんは恋人同士?原作『膝栗毛』に眠る男色の真相と旅の理由
原作に描かれた二人のプロフィールと弥次郎兵衛・喜多八の本名と生い立ちを確認すると、関係性の輪郭がより鮮明に見えてきます。
年長者である弥次さんの本名は「栃面屋 弥次郎兵衛(とちめんや やじろべえ)」。もともとは駿河国(現在の静岡県)の裕福な商家出身でしたが、遊興に溺れて家代々の財産を散財し、江戸の神田八丁堀へと流れ着いた中年男性です。
一方の喜多さんは本名を「喜多八(きたはち)」、通称「喜多さん」と呼ばれ、元は上方(関西)出身の歌舞伎役者(若衆方)崩れでした。江戸で職を転々としていた美男子の喜多八を、弥次郎兵衛が見初めたことが弥次郎兵衛と喜多八の出会いの経緯です。
二人の間には明らかな年齢差が存在していました。旅立ちの時点で弥次郎兵衛は40代半ばから後半の中年男、喜多八は20代後半から30歳前後の色男として描写されています。弥次郎兵衛がパトロンとなって喜多八を居候させ、恋人として囲っていた時期があったことが物語のベースになっています。