名門から秘蔵セラーまで巡る!信州極上ワイン旅の決定版ガイド
長野のワインシーンを語る上で、東御市を中心とした千曲川流域の地殻変動は見逃せない。この地域を日本屈指のワイン産地へと押し上げた起爆剤が、行政と民間が一体となって推進してきた「千曲川ワインバレー構想」である。少雨で日照時間が長く、水はけに優れた砂礫質の土壌は、ヴィニフェラ種(ヨーロッパ系ワイン用ブドウ)の栽培において奇跡的ともいえる適性を誇る。
この地にいち早く可能性を見出し、後進の道標となったのがエッセイストで画家の玉村豊男氏だ。彼が立ち上げたヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリーは、農業とアート、食を融合させた景観美で人々を魅了し続けている。玉村氏の提唱した「農の美学」に惹かれ、都会から脱サラして栽培・醸造の世界に飛び込む移住者が後を絶たない。
小規模ながら強烈な個性を放つ気鋭のドメーヌが次々と誕生し、それぞれが独自の自然派アプローチや無濾過での醸造に挑戦している。千曲川沿いに点在するこれらの工房を巡ると、ひとつの谷の中でさえ斜面の向きや標高差によって驚くほど表情を変えるワインの多様性に圧倒されるはずだ。