名曲プカプカの歌詞と安田南の影|西岡恭蔵が遺した切ない真実
1970年代初頭の日本の音楽シーンにおいて、関西フォークの潮流はひとつの巨大な文化運動だった。政治的なプロテストソングから出発したムーヴメントが、個人の内面や生活の手触りを歌う私小説的な表現へと移行していく過渡期に、ザ・ディランIIは誕生した。
三浦光紀が立ち上げ、はっぴいえんど等とともに日本のロック・フォーク史を塗り替えた「ベルウッド・レコード」。そのカタログの中でも、1972年にリリースされたザ・ディランIIのデビューアルバム『きのうの思い出に別れをつげるんだもの』は異彩を放っている。大塚まさじの渋く陰影に富んだボーカルと、西岡恭蔵の詩情が見事に融合したこの作品において、『プカプカ』はアルバムのハイライトとして燦然と輝き続けている。