謎の生物が居座る不気味な魅力!『うろんな客』が放つ中毒性の正体
エドワード・ゴーリーの代表作として真っ先に名前が挙がる『ギャストリークラムのちびっこたち』は、アルファベット順に子供たちが悲惨な死を遂げるショッキングな内容で知られる。また『不幸な子ども』に至っては、救いのない悲劇の連続が読者の胸を締め付ける。これら残酷な作品群と比較したとき、『うろんな客』の異質さが一段と際立つ。
ここには誰も死なない。誰一人として決定的な悲劇に見舞われることはないのだ。ただ、迷惑で不可解な「客」がずっとそこに居続けるという、終わりのない不条理だけが存在する。ゴーリー独特の悲惨さを抑え、シュールな静寂を極めた本作は、ゴーリー初心者にとっても格好の入門書であり、同時に最も中毒性の高い極上の逸品となっている。