なぜ今また樹木希林が読まれるのか?心を解き放つ珠玉の人生訓
ミリオンセラーを記録した『一切なりゆき 樹木希林のことば』をはじめとする著作が、いま改めて熱烈に読まれている。病や老い、そして死。誰もが目を背けたくなる現実を、彼女はユーモアと冷徹な観察眼で受け止めて見せた。「病気になったことで、人は多くの気づきを得る」「死ぬときぐらい好きにさせてよ」。その痛快な物言いの根底には、運命にあらがわず、すべてを面白がって引き受ける覚悟が宿っている。
先の見えない経済や人間関係の希薄化に揺れる現代社会において、彼女の言葉は奇妙なほど温かい。余計な執着を手放し、足るを知ること。完璧を目指さない生き方は、自分を追い込みがちな若い世代から人生の円熟期を迎えたシニア層まで、幅広い読者の心を解き放っている。