なぜ日本人は丙午を恐れるのか?迷信の真相と出生率の謎を追う
古代中国から伝わった十干十二支の体系において、この巡り合わせは特異な位置を占めている。甲・乙・丙・丁と続く十干の3番目である「丙(ひのえ)」は、陽の火、すなわち天に燃え盛る激しい太陽のエネルギーを象徴する。そこに十二支の7番目であり、方位としては真南、時刻としては正午を司る「午(うま)」が重なる。午もまた火の属性を強く帯びるため、両者が合体した六十干支の第43番目は「極限まで燃え上がる猛火」を意味する符丁となった。
自然界のバランスを重視する陰陽五行説において、火の気が過剰に偏る状態は波乱の前触れと解釈されやすい。天文学や農耕暦としての本来の役割から逸脱し、運命論的な記号へと変質していった過程には、荒ぶる自然現象を畏怖した人々の切実な防衛本能が張り付いている。