なぜ日本は忖度をやめられないのか?歪む意思決定と組織の病巣
どれほど立派な行動規範を掲げても、集団の空気がそれを無効化してしまう。日本社会特有の同調圧力は、個人の良心や論理的思考をいとも簡単に押しつぶす。出る杭は打たれ、沈黙を守る者が生き残る環境では、不祥事の兆候を早期に察知することなど不可能に近い。
形式ばかりのコーポレートガバナンス改革が形骸化する理由もここにある。社外取締役を何人配置しようと、内部通報制度を整備しようと、組織の根底に「上意下達への無条件の服従」が存在する限り、不正の隠蔽工作は止まらない。形式的な制度設計と、現場の心理的リアリティとの間には巨大な断絶が横たわっている。
真のガバナンスとは、チェックシートを埋めることではない。経営陣に対して率直に「ノー」を突きつけられるカルチャーが存在するかどうか。心理的安全性の欠如した組織は、時代の変化に適応できず、内側から腐敗していく運命にある。