なぜ日本の玄関は外開き?欧米との違いや部屋別の正解を徹底解説
居室のドアとは異なり、人命救助や防災の観点から開閉方向が極めて厳格に定められている場所があります。その代表例が「トイレ」と「建物の非常口」です。
住宅のトイレにおいて、ドアが原則として外開き(または引き戸)で設計されるのは、トイレドア外開きの安全性と倒れた時の救助ルート確保が主目的です。トイレは冬場のヒートショックや脳血管疾患、急な体調不良によって意識を失うリスクが家庭内で最も高い場所の一つとされています。もしトイレドアが内開きになっていると、倒れた人の体がドアの内側に倒れ込み、外から押しても体が引っかかってドアが全く開かなくなってしまいます。一刻を争う救命の現場でドアを破壊しなければ救出できないという致命的な事態を防ぐため、トイレは外開きにするのが現代住宅の常識となっています。
また、商業施設やオフィスビル、マンションの共用部などに設置される避難扉には、建築基準法と非常口避難ドアの開閉方向に関する明確な法規定が存在します。火災や地震が発生した際、パニック状態に陥った避難者が非常口へ殺到すると、開口部には凄まじい群衆圧力がかかります。このときドアが避難方向(外側)へ開く構造になっていなければ、前方に押し寄せる人の圧力でドアを手前に引くことが不可能になり、出口が完全に塞がれて大惨事を招いてしまいます。そのため、多数の人間が一斉に脱出する避難経路の扉は「避難方向へ押して開く」外開き構造が法律や消防法によって義務付けられています。