なぜ一流が堕ちるのか?巧妙化する甘い罠の実態と最強の防衛術
いま最も頻繁に標的となっているのは、半導体、新素材、バイオ、量子コンピューティングなどの先端領域を担う民間企業の技術者や経営陣だ。国際的な競合他社や外国政府の意を受けた産業スパイは、巨額の研究開発費を投じることなく価値ある特許やソースコードを奪うため、キーマンの籠絡を試みる。
この脅威はサイバーセキュリティの観点からも極めて深刻な死角を生み出している。どれほど強固なファイアウォールを構築し、暗号化を徹底していても、権限を持つ人間が自らパスワードを入力したり、親密な相手から手渡されたマルウェア入りファイルを社内端末に接続してしまえば、すべての防御は無力化する。人間の心理的な隙を突く「ソーシャル・エンジニアリング」の究極形が、まさにこの罠なのだ。