『逆さ Hero』徹底レビュー!重力逆転のラストに隠された伏線
重力の反転をテーマにした先行作品といえば、吉浦康裕監督が手掛けたアニメーションの傑作『サカサマのパテマ』や、フアン・ソラナス監督の『アップサイドダウン 重力の恋人』が即座に思い浮かぶ。これらの作品は、異なる引力に引かれる者同士の純粋な愛や相互理解を軸にしたリリシズムが光っていた。
しかし本作『逆さ hero』は、そうした甘美なボーイ・ミーツ・ガールを容赦なく切り捨てる。提示されるのは、反転した引力を利用した冷徹なゲリラ戦と、決して相容れない階層間の憎悪だ。手を取り合って浮遊するロマンスではなく、相手の重力を武器にして互いの頭蓋を叩き割るようなバイオレンス。この冷酷なまでのリアリズムこそが、過去作への安易なオマージュを拒絶する本作のアイデンティティとなっている。