Nhk伝説の『タイム・トラベラー』映像消失の真相と最終回が残る奇跡
これほどの社会的反響を呼んだ大ヒット作でありながら、現在NHK公式に保存されている本編映像は第18話(最終回)の1本のみです。この不可解な事態の背景には、昭和のテレビ放送現場を取り巻いていた過酷な技術的・経済的制約がありました。
1970年代初頭、テレビ放送用として使われていた「2インチVTRテープ」は非常に高価な機材でした。テープ1本あたりの価格が当時の大卒初任給を大幅に上回る水準だったため、放送局では番組の放送が終了すると、そのテープの上に別の新しい番組を上書き録画して再利用(重ね録り)するのが一般的な運用ルールだったのです。当時は番組を後世の文化財として恒久保存するというアーカイブの概念自体がまだ定着していませんでした。
その結果、『タイム・トラベラー』の全18話中17話分のマスターテープは上書きによって完全に消去されてしまいました。しかし、第18話だけは奇跡的なルートで現代に残ることになります。
当時、番組制作に関わっていた技術系スタッフ(カメラマン)が、個人的に家庭用オープンリール式VTRで自宅録画していたテープを大切に保管していました。この私物テープが後年のNHK番組発掘プロジェクトによって提供・デジタル修復されたことで、幻の最終回が再び日の目を見ることになったのです。