「親性」とは何か?母性・父性との違いと親としての心理的発達プロセス
妊娠中や育児初期に「子どもを可愛いと思えない瞬間がある」「自分は親に向いていないのではないか」と自責の念に駆られるケースは珍しくありません。しかし、親としての資質と適性は、初めから完璧に備わっているものではなく、子どもと双方向に築き上げる関係性のなかで形づくられます。
親になる前の段階、あるいは育児初期に培われる心理的レディネスを親性準備性と呼びます。この準備性を高め、育児への過度な不安を解消するには、科学的な根拠に基づいたアプローチが有効です。
第一に重要となるのが愛着形成と親性の連動です。親性発達研究では、養育者自身が幼少期に他者から受けた無条件の受容体験(基本的信頼感)が、わが子への応答的な愛着行動の土台になると指摘されます。もし過去に十分な愛着体験がなかったとしても、配偶者や友人、専門職との安心できる関係性を通じて「獲得された安定した愛着」を育むことで、親性は十分に成熟します。
第二に、小児とのふれあい体験や育児シミュレーションを通じた「効力感」の獲得です。乳幼児の泣き声への理解やオムツ替えの基本手技などを知識と体験で事前に学ぶことが、漠然とした恐怖感を「対処可能な課題」へと変換させます。