レッドカーペットの秘密|なぜ赤?歩く条件や歴史・衣装ルールを徹底解説
レッドカーペットの起源は、紀元前5世紀の古代ギリシャにまで遡ります。劇作家アイスキュロスによるギリシャ悲劇『アガメムノン』において、トロイア戦争から帰還したアガメムノン王を迎える際、妻クリュタイムネストラが深紅の織物を敷き詰めて出迎えた描写が最古の記録とされています。当時、赤は神聖な色であり、神以外の人間が赤の上を歩くことは「神への冒涜(ヒュブリス)」と見なされていました。
権威と富の象徴として赤が選ばれた最大の理由は、「コチニール」と呼ばれるカイガラムシから抽出する深紅の染料が極めて希少かつ高価だった点にあります。中世ヨーロッパからルネサンス期にかけて、真紅の布地は王族や皇帝、カトリックの高位聖職者だけに許された特権でした。足元を赤で覆う行為そのものが、最大級の敬意と絶対的な権力を意味していたのです。
近現代において「VIPを歓迎する敷物」として定着したきっかけは、1902年に運行を開始した米ニューヨーク・セントラル鉄道の特急列車「20世紀特急」でした。乗客を案内するために敷かれた赤い絨毯が上質なおもてなしの代名詞となり、1922年の映画『ロビン・フッド』のプレミア上映でハリウッドが導入。1961年の第33回アカデミー賞授賞式でテレビ中継に組み込まれたことで、世界的エンターテインメントの象徴として不動の地位を築きました。