日野自動車パワハラ問題の深層 不正を生んだ密室体質と再生の道
日野自動車の凋落は、単独の問題として片付けられない。日本の基幹産業を支える商用車製造業界全体が直面する、重厚長大産業ゆえの硬直したヒエラルキーが背景に横たわっている。カーボンニュートラル対応や自動運転技術への過渡期において、限られた開発リソースと短納期要求の板挟みになった現場の疲弊は限界に達していた。
親会社であるトヨタ自動車株式会社との関係性もまた、日野の企業風土に複雑な影を落としてきた。トヨタ出身の小木曽聡社長が送り込まれ、抜本的な事業構造の見直しと体質刷新が図られたものの、長年培われた「親会社への過度な忖度」と「失敗を隠蔽する内向きの文化」を払拭することは容易ではない。外からの強力なプレッシャーと、内部の自浄作用の欠如が、不正とハラスメントの温床を温存させ続けた構造的要因である。