市川猿之助セクハラ報道の真相と歌舞伎界を揺るがした事件の全貌
歌舞伎の興行を一身に担う松竹株式会社の対応にも、厳しい視線が注がれた。長年にわたりスター役者の集客力に依存してきた興行会社側は、舞台裏でのハラスメント行為を把握しながらも黙認していたのではないかという批判である。
舞台制作の現場では、伝統の継承や厳しい指導という名目で、パワハラやセクハラがグレーゾーンとして処理されがちだった。演者と会社との契約形態も曖昧であり、フリーランスに近い立場にある若手役者を守るセーフティネットは事実上存在していなかった。
事件後、松竹はコンプライアンス体制の強化や外部通報窓口の設置などを打ち出したが、一度失われた社会的な信頼を取り戻す道筋は平坦ではない。舞台の成功という成果主義の陰で、人権配慮が後回しにされていた構造的敗因が浮き彫りとなった。