市川猿之助の悲劇はなぜ起きたのか?公判記録と名門・澤瀉屋の真実
心中という極限状態において、なぜ両親までが巻き込まれることになったのか。この凄惨な結末を解き明かす鍵は、喜熨斗家の濃密すぎる家族関係にある。
法廷証言によれば、報道の前夜、猿之助は両親に記事の内容を打ち明けたという。長年病床にあり、会話もままならなかった市川段四郎(4代目)と、息子を溺愛しその活動を支え続けてきた母。猿之助が「週刊誌に記事が出る、もう生きていけない。死ぬしかない」と告げた際、母は「あんたが死ぬなら、お父さんも私も一緒に連れていきなさい」と応じたとされる。
密室で行われたあまりに痛烈な「家族会議」。寝たきりだった父・段四郎の介護負担、長年積み重なった家庭内の疲弊、そして息子の失脚が一家の破滅を意味するという強固な共同体意識。逃げ場のない閉鎖空間で、正常な判断能力を失った家族は睡眠薬を口にし、死の道連れを選んでしまった。親が子を道連れにするのではなく、子が親の手を引く形で進められた心中劇の異常性は、この家系が持っていた精神的密着度の高さを如実に物語っている。