市街地に出没する野良ヒグマの真実!独自取材で見えた生存ルート
日本人の脳裏に刻まれたヒグマの原初的恐怖といえば、大正時代に起きた凄惨な三毛別羆事件だろう。巨大な魔獣が民家を破壊し人間を食い殺す記録は、今なお語り継がれるトラウマだ。一方で、近年の映画『ゴールデンカムイ』の大ヒットや、Netflix、NHKオンデマンドで配信される山岳ドキュメンタリーを通じて、アイヌ文化における「キムンカムイ(山の神)」としての尊厳ある姿に魅了された人々も少なくない。
しかし、エンターテインメントやYouTubeのショート動画で拡散される「愛嬌のある野生動物」というフィルターは、現実の爪と牙の鋭さを覆い隠してしまう。動画サイトでバズる可愛らしい仕草の裏には、時速50キロで疾走し、牛の首を一撃でへし折る圧倒的な破壊力が潜んでいる。画面越しに消費されるフィクションのヒグマと、裏庭の家庭菜園を荒らしにやってくる実物のヒグマとの間には、決して埋まることのない決定的な溝が存在する。