飾らない感性が紡ぐ表現力。菊池亜希子が時代を超えて愛される理由
菊池亜希子を語る上で外せない金字塔が、宝島社から刊行されたムック『マッシュ』シリーズだ。自身が編集長を務め、企画から取材、手描きイラストやコラムの執筆に至るまで徹底的にこだわり抜いたこの雑誌は、カルチャー本として異例のロングセラーを記録した。
手書き文字のあたたかみと、計算し尽くされた誌面レイアウトの融合。『マッシュ』は単なるビジュアルブックではなく、彼女の脳内宇宙をそのまま閉じ込めたような濃密な空間だった。大量消費の波に抗うように、一つひとつのモノや人との出会いを丁寧に綴ったその編集手腕は、自らのライフスタイルそのものを芸術へと昇華させる試みでもあったのだ。