睡眠改善薬や風邪薬の盲点!市販の抗コリン作用が招く脳への影響
抗コリン作用を持つ薬剤と認知機能リスクの関連を一躍世界的な議論へと押し上げたのが、米ワシントン大学のシェリー・L・グレイ(Shelly L. Gray)教授らが主導した大規模追跡調査である。米国医師会雑誌(JAMA Internal Medicine)に掲載されたこの研究は、高齢者約3,500人を10年以上にわたって追跡し、抗コリン薬の累積曝露量と認知症発症リスクの間に明確な用量反応関係が存在することを証明した。
研究結果は衝撃的だった。抗コリン作用を持つ薬剤を長期間、高用量で服用し続けたグループは、非服用グループと比較して認知症の発症リスクが有意に高かったのだ。特筆すべきは、服用を中止した後もリスクの上昇が完全にリセットされない可能性が示唆された点にある。
短期的な副作用としての「頭がぼーっとする感覚」は、薬が抜ければ治まると思われがちだ。しかし、グレイ教授らの研究は、微量であっても数年単位で脳内のアセチルコリンシステムを遮断し続けることが、神経変性プロセスの引き金になり得るという過酷な現実を突きつけている。