『水星の魔女』から覚醒へ―市ノ瀬加那が魅せる演技の真髄と舞台裏
SF作品での飛躍を経て、彼女が次に足跡を刻んだのが一大ブームを巻き起こした『葬送のフリーレン』である。静寂と旅路の哀愁を描くこの重厚なファンタジーアニメにおいて、市ノ瀬は魔法使いフェルン役を担当。感情を表に激しく出さない少女の、微細な心の揺れやふとした吐息、主人公フリーレンに向けられる母性と子供っぽさが同居した複雑なニュアンスを見事に体現した。
派手な叫びや過剰な演出を抑え、日常の会話の中にドラマを宿らせる彼女の芝居は、作品の持つ叙情的な世界観と完璧に調和した。壮大なSFアニメから繊細な描写が求められるファンタジーアニメまで、ジャンルを自在に行き来する振り幅の広さは、彼女の表現力が天井知らずであることを証明している。