死んだ魚のような目の裏に潜む知性!チベットスナギツネ驚異の真実
彼らの食生活の実に9割以上を占めるのが、同じく高地に暮らす小型哺乳類、クビワナキウサギ(Ochotona curzoniae)である。この地下に複雑なトンネル網を張り巡らせる俊敏な小動物とキツネの間には、数百万年にわたる進化の軍拡競争が繰り広げられてきた。
クビワナキウサギ(Ochotona curzoniae)は極めて警戒心が強く、一瞬の隙も見せない。そこでキツネが見せるのが、徹底した「待ち伏せ」と「心理戦」だ。風下に身を伏せ、岩の陰に完全に同化して何時間も微動だにせず待機する。獲物が巣穴から顔を出した瞬間、低空を滑るような独特のスプリントで一気に距離を詰める。
近年記録された興味深いフィールドノートには、ヒグマがナキウサギの巣を掘り返す音を聞きつけ、逃げ出してくるウサギを先回りして捕獲する「相利共生にも似た機会利用」の現場が克明に記されている。力では敵わない大型動物の行動パターンすら、彼らは自らの狩りの駒として利用している。