松田龍平と翔太の真実、父優作の影を超えた華麗なる兄弟のリアル
二人の足跡を振り返ると、そのコントラストの鮮やかさに息を呑む。兄・松田龍平は1999年、大島渚監督の映画『御法度』で鮮烈なデビューを飾った。何色にも染まらない圧倒的な透明感と、どこかこの世の理から外れたような佇まいは、観客のみならず映画人たちをも驚嘆させた。その後、『舟を編む』で見せた実直で不器用な辞書編集者の姿に至るまで、彼の芝居には常に「引き算の美学」が息づいている。作為を捨て、役柄そのものとしてただそこに存在する凄みだ。
対する弟・松田翔太の表現は、極めて鋭角でスタイリッシュだ。代表作『ライアーゲーム』などで見せた知性的で怜悧な眼差し、洗練された身のこなしは、画面の空気を一変させる支配力を持つ。直感と脱力を武器にする兄に対し、緻密な美意識と構築美で役を支配する弟。アプローチは正反対でありながら、どちらも日本映画界において替えの利かない唯一無二のポジションを確立している。