『すずらん』過酷な現場と心の傷…遠野なぎこが明かした壮絶な真相
『すずらん』を象徴する舞台といえば、どこまでも広がる銀世界にポツンと佇む木造駅舎「明日萌駅」だ。北海道留萌本線の恵比島駅(現・廃駅)に大規模なオープンセットを組んで撮影されたこの場所は、物語の情緒を決定づける重要な舞台装置となった。しかし、その映像美を生み出す代償はあまりにも大きかった。
現場を覆うのは、体感温度が氷点下20度を下回る容赦ない吹雪。当時のテレビドラマ制作において、ここまでの極寒ロケを長期にわたって敢行するのは異例中の異例だった。吐く息の白ささえも演出の一部として計算されるなか、かじかむ手足と凍りつく衣装に耐えながら、遠野なぎこはカメラの前に立ち続けた。過酷な寒さは演技のリアリティを極限まで引き上げたが、同時に十代の俳優にとって逃げ場のない試練の連続でもあった。