台湾の空に消えた天才脚本家——事故から45年、今なお語り継がれる「あの日」の真相と遺された言葉
夏空が広がる台北・松山空港を、遠東航空103便(ボーイング737-200型機)が飛び立ったのは午前9時10分のことだった。目的地は高雄。機内には台湾国内の乗客に加え、向田邦子を含む日本人ツアー客ら多数が乗り込んでいた。離陸からわずか14分後、高度約3,000メートルに達したあたりで、事態は破滅的な局面を迎える。
爆発音とともに機体は空中分解した。苗栗県三義郷の山中に、機体の残骸と乗客乗員110名の命が散った。生存者はゼロ。突然の消息絶ちから墜落の確認まで、現場周辺は騒然とした雰囲気に包まれた。日本国内では「向田邦子搭乗」の情報が交錯し、関係者が祈るような思いで報せを待ったが、夕刻には最悪の結末が現実のものとなった。