太陽の季節から知事時代まで/石原慎太郎の知られざる凄絶な生涯
1955年に発表された『太陽の季節』は、昭和文学の静謐なドグマを容赦なく叩き壊した。強烈な欲望、不道徳な青年の生態、そして何より既存の価値観をせせら笑うような冷徹なリアリズム。この作品が巻き起こした倫理的論争は、出版業界を騒然とさせ、後に「太陽族」と呼ばれる若者風俗を生み出す社会現象へと発展した。
文壇の重鎮たちから激しい批判を浴びながらも、圧倒的な支持を集めた背景には、高度経済成長前夜の日本に渦巻いていた若者たちの焦燥感があった。慎太郎は自身の作品を映画化するにあたり、実弟の石原裕次郎を銀幕へ送り出す。この兄弟のタッグは、戦後日本における商業文化とメディア表現のあり方を決定的に塗り替えたのだった。