タッチ浅倉南役・日高のり子の原点と今!名セリフを生んだ魂の叫び
「タッちゃん、南を甲子園に連れてって」
日本のアニメ史に深く刻まれたこの名フレーズ。最初からスムーズに生まれたわけでは決してない。当時のアフレコ現場は、アナログテープが回る独特の張り詰めた空気に満ちていた。主人公・上杉達也役を務めたベテラン声優の三ツ矢雄二は、日高にとって頼れる先輩であり、同時に誰よりも厳しい指導者でもあった。
声の演技にまだ不慣れだった日高に対し、三ツ矢はスタジオの隅で細やかなアドバイスを送り続けた。音響監督からの容赦ないリテイクに悔し涙をにじませる日高の背中を、三ツ矢が黙って支える。マイクの前で生まれたあの息遣いは、作中の達也と南の関係性そのものだった。計算された芝居ではなく、極限まで高まった感情がこぼれ落ちた一言だからこそ、何十年経っても色褪せず、聴く者の胸を締め付ける。