「うる覚え」は誤用?文化庁の最新調査と語源が明かす衝撃の真相
日本を代表する国語辞典『広辞苑』の礎を築いた言語学者・新村出は、言葉の歴史的厳密性と民衆の生きた言葉の狭間で常に格闘を続けた。三浦しをんの名作小説『舟を編む』でも活写されたように、辞書編纂者たちの仕事は、広大な言葉の海から確かな意味をすくい上げることにある。
現代の『広辞苑』を開くと、「うろ覚え」の項には「確かでなく、ぼんやりと覚えていること。うろおぼえ」と明確に記されている。一方で「うる覚え」を引いても独立した見出し語として掲載されていないか、あるいは「うろ覚えの誤り」と注釈が添えられるのが通例だ。
辞書は単なる言葉の墓場ではなく、時代ごとの規範を示す羅針盤である。何千万人もの話者が誤用を重ねたとしても、語源的な合理性と歴史的文脈を保持する「うろ覚え」の地位は、揺らぐことがない。